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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第11章 飛び出る災難


「どこまでも失礼ですね。冗談ですよ。七割は聞いてますから」
「・・・残りの三割どこ行きました?」
「・・・何であんな次々話す事あるんだ?いっそ感心するぜ、うん」
イタチと深水の話し合いの傍ら、鬼鮫と牡蠣殻の言い合いに耳を傾けていたデイダラが、満更口だけでもない感嘆の顔で呟いた。
「よくあの減らず口に付き合うものですよ」
深水が苦笑した。
「初見からああいった風だ」
地図に書き込みをしながら言うイタチに、デイダラはヒョッと首を伸ばして頓狂な声を出した。
「初めから?へー、すげえな。きっと二人とも遠慮ってモンをどっかで落っことしちまったんだろうな、うん」
「誰が拾って届けてくれれば良いのですが。遠慮も大切なもの故」
「カラスにでも食われているかも知れない。今日日のカラスは存外遠慮深い・・・」
真顔で言うと、イタチは深水を見た。
「鬼鮫は牡蠣殻さんに付いてここに残る。あの人が暁にいる事は誰も知らないが、念の為。あなたが狙われているなら牡蠣殻さんの身も安全とは言えない。予防線と思って欲しい」
むしろ最終的な目的は検体としての牡蠣殻だろう。その体質を御すために深水が、深水の知識が必要なのだ。カブトから何を匂わされて命の危険を感じたのか知らないが、過多の情報で悪戯に動揺させるのは良策ではない。まして相手が生真面目な人間であるならば。
「鬼鮫の代わりにこのデイダラが任務に付く」
「よろしくな、フカのおっさん」
「フ、フカ・・・?」
「なあ、木の葉に行くんだろ?うん?」
「余計な騒ぎは控えねばならない。あまり張り切るな」
「ああ、はいはい了解、わかってっから安心しろって、うん」
「・・・・・」
イタチは物言いたげな顔をしたがそれ以上言わず、深水に視線を戻した。
「あなたの連れ合い、杏可也さんといわれたか。個人的に連絡をとる事は出来るだろうか。彼女が自分で木の葉から出てくれれば話が早くなる」
「出来なくもありませんがな。あれは磯長の姉、私がしでかしたことを考えればそうそう身軽に動ける状況にあるとも思えない。ましてあれは今己れ一人の体ではありませぬ。単独で無理を強いる様な事は極力避けたい」
「波平さまの返事次第でしょう?」
牡蠣殻がヒョイと口を挟んできた。
「あの方の事ですから、意外な判断を下されるのも十二分にあり得ます。デグを待たれてから考えた方が良いのではないですか」
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