第2章 始まりの春
「はぁっ…!ま、間に合った…?」
チャイムギリギリのところで教室に滑り込む。
周りの生徒達は既にグループを作りつつあって、私は取り残された様にそれを見つめていた。
昔から家の影響もあって友達が出来にくい。
私に出来る事と言えばなるべく目立たないように教室の隅の方に…
「あ!噂の九条さん」
目立たない様に…
「本当だ!やだ、同じクラスなんだぁ〜」
教室の隅の…
「うわーすげぇ本物の金持ち…オーラが違うぜ!」
方に…
「何か私達みたいな普通の家庭の子達と一緒のクラスって…ねぇ?」
…。
無理だ………!
何だろう、この近寄らないでくださいって感じは。
入学初日でこんなにも心の距離が出来るなんて…。
「はぁ……」
思わず重いため息を漏らした時
ガラッ
教室の扉が開いた。