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melancholia syndrome

第6章 先生と生徒


「うん!さっすが私、上出来だわ!」

戸塚さんは満足そうに頷いて私に向き直った。

「でも、流石女子高生。とっても良く似合ってるわよ〜。若いって罪よね〜」
「すみません、着付けだけじゃなくヘアアレンジまでやってもらってしまって…」

彩葉ちゃんと約束の日、私は戸塚さんにお願いして浴衣の着付けをしてもらっていた。

「いいのよ、どうせ私も自分のもやるんだし。ついでよ、ついで」

今日は彼氏さんとお出かけらしく、戸塚さんも上機嫌。

彼氏どころか最近まで友達すらいなかった私からすると未知の世界の話だけど、戸塚さんの嬉しそうな顔を見てると何だか私まで嬉しくなる。

「あれ?唯ちゃん時間大丈夫?」
「あっ!」

そう言われ時計を見れば約束の時間が迫っていた。

「すみません、私もう行きますね!本当にありがとうございました!」
「いいのよ、楽しんできてね〜」

ぺこりと頭を下げると戸塚さんは笑顔で手を振ってくれた。

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「あ!唯〜!」

待ち合わせ場所に行くと既に3人とも来ていた。

「ごめんね、待たせちゃって…」

乱れた息を整えると彩葉ちゃんは首を振った。

「私達も今来たところなんだよね。気にしないで」
「そっか…」

安堵の息をもらすと五十嵐君と友永君の2人の姿が目に入る。

「2人も浴衣着てるんだ」

男の子の浴衣姿が新鮮で思わず呟くと2人とも恥ずかしそうにそっぽを向いてしまった。

「私がプロデュースしたんだけど、2人ともイヤイヤ言って聞かなかったから無理矢理着せたのよ」

彩葉ちゃんは楽しそうにそう言うと2人の背中をバーンっと叩く。

「あれだけ嫌って言ったのに彩葉は人の話を聞かないから…」
「ホントだよ、俺もう既に疲れた…」

2人ともげっそりした様子だけど、どこか楽しそうにも見える。

「そんな事ないよ、2人とも凄く似合ってる!」

私がそう言うと3人は顔を見合わせて吹き出した。

何かおかしい事言ったかな…?

「九条さん、それ普通は男から言う台詞だよ」

友永君はお腹を抱えて笑う。

「九条も浴衣、似合ってるよ」

滅多に男の子から褒められる事のない私は五十嵐君の言葉に赤くなるのだった。
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