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melancholia syndrome

第5章 大人と子供


「んー…やっと終わったぁ〜…!」

中間テスト最終日、彩葉ちゃんのそんな言葉で私は我に返った。

あの夜以来、私は勉強に集中出来ずあまりテストの手応えも良くはなかった。

先生のせいにはしたく無いけど、脳裏をチラつくのはあの夜の先生の表情で。

私には先生が何を考えているのか分からない。

初めて友達になった時、先生と友達なんて我ながら奇妙な関係だとは思ったけど素直に嬉しかった。

少しだけ先生との距離が近くなったようで嬉しかった。

でも、あの夜の先生はまるで近付くなとでも言うように私に先生との距離を思い知らせた。

縮まったと思った距離は広がったのか、それとも私が気付かなかっただけで初めから私と先生の間には見えない溝があったのだろうか。

毎日そればかり考えていた。

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「ただいま帰りました」

テスト最終日は午前で学校が終わってしまうので私はいつもよりも早くセピアコートへ帰って来ていた。

「お帰り〜」
「…!と、東堂さん…」

出迎えたのはアイスを片手にテレビを観る東堂さんだった。

正直、東堂さんとも顔を合わせたくなかった。

あの日、東堂さんに言われた意味深な言葉も私を悩ませる種の一つだったから。

「あー、もしかして今日でテスト終わり?お昼食べた?」
「いや、まだです…」

私がそう答えると東堂さんはキッチンへと向かい、何やらガサゴソとしている。

「東堂さん料理出来ないんじゃ…」
「んー?無理だよ?だから簡単に食べれる物ないかなーってね」

多分カップ麺とか冷凍食品を探しているのだろうがキッチンの主である絵里子さんはそういったジャンクフード類を好まない。

「んー、ないなー」

数分後、諦めた東堂さんはリビングへと戻って来た。

「お昼は自分でどうにかするので…」

とにかく一刻も早くこの場から離れたい。

「なーんか避けてる?ボクのこと」
「そ、んな…ことないですけど…」

微妙につっかえてしまった。

「ふーん」

ま、別にいっかと東堂さんは自分の部屋へ戻って行った。

「ただいま〜」
「っ!!」

そして、東堂さんと入れ違いで先生が帰って来てしまった。
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