• テキストサイズ

melancholia syndrome

第5章 大人と子供


数日後、私達はファミレスに集まって勉強会を実施した。

「ねぇ〜光輝、ここも分かんない」

彩葉ちゃんはコーラを飲みながら五十嵐君に問題集を差し出した。

「彩葉、少しは考えてから聞けよ」

友永君も同じくコーラを飲みながらダルそうに携帯ゲームに熱中している。

「うっさいわね〜…大体アンタさっきから一問も進んでないじゃないの!」
「今は休憩タイムなんですぅ〜」
「何時間休憩すれば気がすむのよ!」

そうして2人は喧嘩をし始める。

かくいう私と五十嵐君はさっきからこの2人のやりとりを少なくとも3回以上は目にしている。

友永君と彩葉ちゃんは会えばいつも喧嘩をしている。

五十嵐君曰く昔からそんな感じらしく、放って置けばいつか収まるという事で私も最近はこの2人のやりとりに慣れてきた。

喧嘩する程仲が良い、とも言うし何だかんだ2人共楽しそうなのだった。

そんな2人を尻目に私と五十嵐君は黙々と問題集を解いていた。

と、ここで分からない問題に当たってしまった。

「五十嵐君、この問題なんですけど……っ!」

隣に座る五十嵐君に声を掛けると意外と距離が近くて驚いてしまった。

「あ、この問題は…」

五十嵐君はさして気にした風ではなく問題の解法を教えてくれる。

今まで男友達どころか女友達すらいなかったものだから、男の子との距離の取り方がいまいち良く分からない。

…こんな事で一々緊張してたら失礼だよね。

五十嵐君は丁寧に解説をし終えると再び自分の問題を解き始めた。

彩葉ちゃんが言っていたように五十嵐君はすごく頭が良くて教え方も上手だった。

ものすごく丁寧な解説のお陰で今日1日だけでもかなり問題集が進んでしまった。

「じゃあ、そろそろ解散しようか」

ファミレスで勉強すること約5時間。

窓の外を見れば、いつの間にか日が傾きかけていた。

五十嵐君の言葉を合図に私達は勉強道具を片付け始めた。
/ 58ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp