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melancholia syndrome

第4章 波乱の一泊二日


「あれ?」

ふと気付いた時、私は全く分からない所へ来ていた。

「えっと…」

考え事をしていたせいで、自分がどの方向から歩いて来たのかも分からない。

「と、取り敢えず元来た道は……っ!!」

再び歩き出そうとした時ズキンっと右足首が痛んだ。

「__ったぁ……!」

痛みに耐え切れずにその場にうずくまる。

ズキンズキンと痛む右足は赤く腫れ上がっていた。

慣れない砂利道を歩いたからか、それともこんなに歩いたのは初めてだからか、あまりの痛さに歩く事は出来ない。

「どうしよう……」

呟いた声は森の中へ溶けて消えた。

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「ねぇ、九条さん遅くない?」

彩葉はしっかり休憩を取ったお陰で随分と元気になっていた。

「確かに…見当たらないし、どこに行ったんだ?」

俺は軽く見回すが九条さんが近くにいる様には思えない。

隼人も知らない様で首を振るだけだった。

「おーまーえーらー、遅いっ!遅すぎだろっ!」

どうしたものかと考えていると、担任の和泉先生がやって来た。

「あれ?先生、まだこんな所にいたの?」

生徒達の中では俺達が圧倒的に遅かった為、彩葉は驚いた様にそう言った。

「俺は全員登り切ったか確認しないといけないから、一番最後に登り始めたんだよ」

成る程、と俺達が納得していると先生は何かに気付いたのか首を傾げる。

「てか、九条は?五十嵐達と同じ班だったよな?」
「それが、さっきから見当たらなくて…俺達も今捜してたんですよ」

俺は素直にそう答えた。

「は?いないの!?」

すると、先生は慌てた様に声を大にした。

「いやいや、お前ら早く捜せよ!何かあってからじゃ遅いんだぞ!」

先生の物凄い剣幕に3人共言葉を失う。

「友永!お前は東雲連れて先に行け!急いで行けば前の班に追いつける筈だから!」
「わ、分かった!」

先生の言葉で隼人も危機感を感じたのか彩葉に手を貸して立たせると2人共早足で歩いて行く。

「んで、五十嵐は俺からあまり離れない程度に一緒に九条を捜してくれ。何かあったらすぐに俺を呼べよ、分かったな」
「分かりました」

先生は俺の先に歩き始めると山道から逸れた山の中へ入って行った。

俺も後に続こうとした時、雨が降り始めていた。
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