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melancholia syndrome

第4章 波乱の一泊二日


森の中はひんやりとした空気が漂っていて、疲れて熱くなった頬に気持ちが良い。

ただ目的も無く歩いていると自然と昔の事を思い出していた。

〜6年前〜

「ねぇ、今日は外で鬼ごっこしようよ!」

それは、いつも仲良くしている女の子の一言だった。

今となっては名前も顔も覚えていないけど、どうしてだか出来事だけはしっかりと覚えている。

「ごめんね、私は外はダメなんだ…」

外で遊ぶ事は体の弱い私にとっては難しい提案だった。

だから私はそう言うしかなかった。

「えー!?それって唯ちゃんの我儘じゃん!外で遊ばないなら、もう友達じゃないから!」
「そんな…!」

周りには他にも女の子達がいたが、みんな私達を見ているだけだった。

多分、その子達も前々から私に対して思う所があったんだと思う。

言えなかったのは私のバックに付く家の存在があったからで、そんな中こうして物申した彼女はすごく勇気があったんだなと今はそう思う。

「大体、アンタがお金持ちじゃなかったら私だって友達やってないし?パパが言うから仕方なくやってんのに何なのよ!」
「えっ…!?」

それは、衝撃の一言だった。

私はずっと友達だと思ってたから。

「アンタなんてお金持ちじゃなかったら良い所なんて一個もないくせに!」

恐らく彼女の言った事は正しかった。

でも、この頃の私にはあまりにもショックで信じたくなくてその場から逃げ出していた。

その後、私は転校をしてしまったし彼女がどうなったかは分からないが間違いなくこの出来事が私を大きく変えた。

彼女のせいではない、自分が至らないから。

彼女がそう気付かせてくれるきっかけをくれたのに、私は勝手に周りに期待する事が無くなった。

この日から私は誰かに頼るのも甘えるのも止めた。

全部、自分一人で…

だって、どうせみんな私の事なんて興味がない。

みんな私の家ばかり見る。

勝手にそう思うようになっていた。

でも、本当は自分でも気付いていたと思う。

周りが私に興味が無いのは当たり前なんだと。

その理由は私が一番よく知ってるから。
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