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melancholia syndrome

第3章 初めての友達


お昼ご飯を食べてから、あっという間に午後の授業は終わりを告げた。

お昼の先生の言葉を教訓に私は部活の準備をするクラスメイト数人を見つめていた。

誰に声を掛けよう…。

悩んでいる間にもクラスメイト達は次第に減っていき、教室に残る人もまばらになっていった。

「やっぱり…」

無理かも。
どうせ私なんて、いつもこう。

ジワっと涙が目に溜まり、俯いてしまう。

やっぱり私なんか…

「九条さん?大丈夫?」

声を掛けられた。

誰かと思い顔を上げるとクラスメイトの五十嵐光輝(いがらしこうき)君だった。

「何か調子悪そうにみえたからさ、大丈夫?」

呆然と五十嵐君の顔を見つめていると、五十嵐君は何か勘違いしたのか慌て始めた。

「や、えっと…!決してやましい気持ちではなく、俺は純粋に心配しててね…!……ごめんね、何か声掛けちゃって………」

パタパタと自分の前で手を振る五十嵐君はもの凄く慌てているように見える。

「そんな事ないです…声を掛けて頂いて凄く嬉しいです、謝らないで下さい…」

声を掛けて貰えた事に感激して声が震えた。

「えっ…?」

五十嵐君は困惑したように自分の手を止めた。

「私、口下手でクラスにも馴染めてなくて…だから、嬉しいです。ありがとうございます」

深々と頭を下げると五十嵐君は驚いたような顔をして頭を掻いた。

「ごめん、俺てっきり九条さんてもっと俺達みたいな庶民に興味ないと思って…何かごめんな?」
「いえ…」

私達はお互い向き合って床に正座していた。はたから見ればかなり奇妙な雰囲気だろう。

「あの…もし宜しければ私と……」

友達になって欲しい、そう言えるチャンスだと思った私は口を開いた。

ガラッ

途端、教室のドアが開く音が私の言葉を遮った。
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