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melancholia syndrome

第3章 初めての友達


「ふっ……あはははっ……!」

初めは堪える様に笑っていた先生だが、次第に大声でお腹を抱えて笑い出した。

「な、何で笑うんですか!?」

何だか笑われたのが恥ずかしくて私はムキになってそう尋ねる。

「いや、だって…!俺は教師だよ?まさか友達になろうなんて言われるとは思ってなくて…!」

ゲラゲラ笑う先生は机をバンバン叩きながら目を涙目にしている。

「もういいです!教室に戻ります!」

何だかバカにされているような気がして私はそう言って席を後にしようとした。

「待って、待って!」

先生は慌てて私を止めると笑いすぎてお腹が痛いのか片手でお腹を押さえていた。

「ごめんて、怒らないで」
「別に怒ってませんけど」
「怒ってるじゃん」
「怒ってません!」

…。

「ふっ…あはは!」

互いに言い合っているのが滑稽で、私は笑っていた。

先生はキョトンとしていたが私が笑うのを見て先生も笑い始める。

ひとしきり2人で笑ったところで先生は私にこう言った。

「ん、やっぱお前笑ってる方がずっといいよ」
「え?」

先生はいつの間にかカレーを食べ終えていてグラスに入った水を飲み干した。

「君、いっつも難しそうな顔してんだもん。その方がクラスの奴らも声掛けやすいんじゃないか?」
「あっ…!」

そう言われて初めて気付く。

自分から壁を作ってしまっていた事。
先生がわざわざ私を怒らせて教えてくれた事。

「先生」

トレーを片付け始めた先生に声を掛ける。

「ありがとうございました」

自分なりの精一杯の笑顔で伝えると、先生も笑顔を見せてくれた。

「そうだ」

歩き始めた先生はふと思い出した様に立ち止まった。

「友達になったからには、これからは遠慮はナシな」

先生は振り返り、私の顔を見つめると優しく笑う。

「これからは、何でも1人で抱えずに相談する事」

そう言った先生は、今までで一番先生らしく思えた。
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