第3章 初めての友達
「光輝!早く部活行くぞー!」
教室に入って来たのは、同じくクラスメイトの友永隼人(ともながはやと)君。
友永君は私達の姿を見て猛スピードで駆け寄って来た。
「な、なななな!お、お前!九条さんとナニしてんだよ!?ま、まさか話したのか!?」
「え、あーうん」
五十嵐君がアッサリそう答えると友永君はサーっと青ざめた。
「抜け駆けは許さねーぞ!俺も混ぜろ!」
「は?部活はどうすんの?」
「んなもんはいつでも行けるだろ!こっちが最優先だ」
そう言って友永君はどかっと床に腰を下ろした。
「ところで、さっき九条さん何か言い掛けたよね?」
五十嵐君は私にそう優しく問いかけた。
「あ、えっと……その、わ、私と……」
しどろもどろになりながら、私は一生懸命話す。
「友達に……なって…くれませんか…?」
どんな反応をされるか分からなくて俯きながらそう言い切った。
「ふふっ……」
五十嵐君の小さく笑った声で顔を上げると、五十嵐君は優しく笑っていた。
「うん、こちらこそ」
差し出された手に私も自分の手を重ねた。
良かった…本当に。
「光輝だけなんてズリィ〜ぞ!俺も入れてくれるよな、九条さん?」
隣で黙って見ていた友永君が不満そうな声を上げる。
「あのな、お前は関係ない…」
「勿論です!」
「へ?九条さん……!?」
こうして、私は1日に3人も友達が出来たのだった。