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melancholia syndrome

第2章 始まりの春


そうして学校から徒歩30分程度のところにある"セピアコート"という名前のアパートに決まった。

外観は割と綺麗で洋風。
勿論ここには私以外にも住人がいる。

「皆さんにご迷惑掛けないようにしないと…!」

1人でにそう呟く私。

「んん〜?見かけない顔だけど新しくココに来た子かな?」

その声に振り向くと1人の男性が買い物袋を腕から下げて立っていた。

「あ、はい。今日からお世話になります、4号室の九条唯と申します。よろしくお願い致します」

深々と頭を下げるとその人はニコニコと笑いながらこう返した。

「ボクは2号室の東堂蓮(とうどうれん)、君みたいに礼儀正しい子は好きだよ?」

スッと手を差し出すので握手をするのだと思い私も手を差し出すとグイッと腕を引かれた。

「えっ?あの…?」

行動の意味が分からず問い返すと東堂さんはニコニコ笑って答えた。

「油断大敵ってね?」

と言って東堂さんは更に私をぎゅーっと抱きしめる。

「ちょっ…!は、離して下さいっ!」

東堂さんの腕の中でジタバタと暴れていると聞き覚えのある声が聞こえた。

「おい、蓮!先に行くなよ……って何してんの」

呆れた声が東堂さんの背中越しに聞こえる。
多分、その人から私の顔は見えてない。

「えー?何か可愛い子が今日からここに住むって言うからさー」

パッと私を離して私の視界がクリアになる。

振り向く東堂さん、そして声の主が私の姿を捕らえる。

「えっ……九条?」

やっぱり…。
その人は和泉先生だった。
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