第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
開始と同時に二人とは別れた。熾月祭はソロ戦が大体なのでそれも仕方が無い。
しかし、そんな中で複数人。いわゆるパーティも組む者達もいる。
それにパーティを組む場合もあまり珍しいことではなく祭り後半になればだんだんと増えていく傾向があった。
12時に終了する熾月祭のタイムリミットまであと一時間半。
相変わらずニルムは大通りを好んで歩いてたからか、そんなパーティと会うのもあるいは必然で。
「やあ、札をわたそうかぁ?ちびっ子」
後ろに数人の熾獅族の男女をはべらせた美人の女性、しかしその年齢は30後半で、婚期をあからさまに逃していた。
「お、おば...」
ニルムが「...さん」と繋げようとしたところを瞬時に婚期逃しの熾獅族の女性が。
「誰がおばさんだあァ!?」
「ま、まだ続きいってないよっ!?」
その女性の迫力に無意識のうちに尻尾をまたのうちに入れていたニルムは。
「あ、あの、後ろの人は...?」
「パーティよ」
「熾月祭って単騎が普通なんじゃないの...?」
そうニルムが言うと女性は笑って言った。
「アハハハッ!ちびっ子ぉ、あなた何も知らないのねぇ....て、あなた熾獅族の子供じゃないわね。珍しいこともあるのねぇ他種族がこの祭りに...で、ちびっ子は何族?」
「ボクはせ...ちがった!豪豹族だよ?」
間違って仙狐族と言いそうになってしまったニルムだった。
対して熾獅族の女性が率いる複数人の男女はニルムの言葉にどよめいていた。
「あ、あの子供豪豹族なのか...?」
「でも豪豹族って言えば豹柄の黒点がないぞ?」
「あの毛先の黒いのがそうなんじゃないのか?フサフサしてるからそう見えないだけで」
「そうね、耳だけ見れば豪豹族だし」
あぁ...なんかヒソヒソ話してる....と、ニルムが空を仰いでいると。
「ええい!さっさと札とっちまうよ!豪豹族っていっても所詮子供だ、勝てる!さあついてきなッ!」
そう言ってニルムの方へ駆け出す女性、一拍遅れてパーティの獣人もそれにならう。
ニルムは勝利の印としての札を40人ぐらい倒したところで捨てており、現在首にかけているのは捨てたあとに手に入れた数枚のみで、はたから見ればあまり敵と遭遇せず偶然生き残った豪豹族の子供、と写ったことだろう。
全て、勝手な思い込みなのだけれど。