第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
大通り、いつもと...と言ってもニルムは一日しかその光景を見たことがないのだけれど、は閑散としていた。しかしそんな大通りの真ん中をトテトテと歩く浅葱色の和服をたなびかせた少年、ニルムは隠れた気配を敏感に感じ取っていた。
そしてその気配が動く。
「そおりゃぁぁぁぁッ!!」
熾獅族特有の瞬発力や一瞬の火力に特化した筋力による岩をも砕くであろう拳がニルムへ振り下ろされる。
「うわぁっ!」
ギリギリの間合いで交わしそのまま合気道の...と言ってもニルムは知らないのだけれど、の技で相手を通りすがり腕をひっかけ回転させる。
そして180度回転して重力によってもたらされる頭への衝撃が熾獅族の獣人の意識を刈り取った。
相手の懐から札を取り出し自分の首にかける。
良く見ると首にはたくさんの札が引っかかっていた。
「...ふう、これで13人めっと」
開始して20分、それがニルムの成果であった。