第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
九時から始まる熾月祭は既に十分前を切っていたこともあり、出場者はみんな街に散らばったのか受付会場である街の中心の塔には人はあまりいなかった。
「ガラガラだねー、みんなもう受付済ましちゃったのかなぁ?」
「まあ、そうだろうな。なんせフィールドは街全体だからな」
「でも出場者がだんだん減ってくと同時に街のフィールドを警備官が狭めていくけどね」
「ふーん...あれ?出場しない人はどうするの?」
「ああ、塔に行くんだよ、安全だしな」
そんな雑談をしながら出場登録をし、札をもらう。
「なにこれ?」
ニルムは札を手にして言った。
「それはね、『熾月札』って言うの。それを相手から取ったら勝ちで、取られたら負けね、見やすいところにつけなくちゃいけないから首にかけてあげるね」
そう言ってユウハは中腰に膝を曲げ、どこからか取り出した紐でニルムの首に札をかける。
「おーい、ガキ、今すごい子供扱いされてんぞ...」
サエルはそんな二人を見ながらげんなりと呟いた。