第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
宿屋のとある一室、フレーリングの床に白いベット1つと白いタンス、そして白いカーテンと白づくしの部屋のベットの上でニルムは仰向けに転がっていた。
ニルムは夜が、特に就寝のこの瞬間が苦手だった。
それはニルムにとって夜はオウマの死を連想させるものだったからだ。そしてまだ4夜しか経ってないこともありらニルムは知らずうちに涙を流していた。
「...あっ...」
その涙を指でぬぐって立ち上がるニルム。
「....気分転換に宿屋の中を散策でもするかな...」
そう言うと、フラフラとした足取りで、眠気からか過去の悲しみからかはわからないが、扉に向かい部屋を出る。
またひたすらに白い廊下は月明かりに照らされていて少々暗いように感じたがニルムは曲がりなりにも豪豹族の地を引いている、すぐに目が慣れた。客観的にいうと、瞳孔がまん丸くなった。
そしてそのまま気ままに廊下を歩き出す。
同時刻、とある客も月明かりに照らされた廊下を歩いていた。
「ふぅ、トイレはどこじゃ?トイレトイレ.....んほぉ?」
客が見つけたのは月明かりに照らされて動く金色の炎だった。それも上下に2つ。客の気配を感じたのか大きく揺らめく。
「ひ、ひええぇぇぇええぇぇッ!!!???ひ、ひひ人魂じゃあぁ!」
客は叫びながら元いた道を走っていった。
その頃ニルムといえば。
「ひッ!?な、なに今の悲鳴!?」
と言ってその場にしゃがみ、尻尾をまたのうちに入れて恐怖していた。
「うぅ、こ、こわいぃ...やっぱはやく部屋戻ろっと....」
つぎの日、人魂が出たとの噂が、宿屋を賑やかした。