第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
「フフッ、にしても見れば見るほど私の思っていた印象と違ってくるわね」
例の宿屋の案外広いロビーでまたされる中ユウハがふとそんなことを言った。
「印象?」
ニルムの疑問符にユウハは。
「私がね、豪豹族の人を見たのは君が二人目なんだよ」
「そうなの?」
「そうそう、あれ以来やってないけどさ豪豹族と交流演習武闘ってのが10年ぐらいの周期でやってたの」
「交流演習武闘....そんなのあったんだぁ」
「まあ16年も前になる、私が2歳の時だった時のことだから知らなくても無理ないと思うよ」
「そうだね、うん。ボク13歳だしなぁ三年前になんか生きてないもん」
「あ、ニルムって13歳だったの、身長どおりね」
「は、はぐっ!?ひ、ひどい....」
「ああ!ごめんってば!悪かったよ、顔あげてって」
ユウハはニルムが身長を気にしていることを今初めて知った。13歳なら仕方ないんじゃ?ととても思ったがもしそれを言ったら、もっと拗ねそうなのでやめておいた。
「そ、それより!それに出てた豪豹族のひとが190cmはあるようながっしりした人でさ!」
「...ふーん、そんなその人は大きかったの」
話をつなげたのは逆効果だった!しかしまた話し始めてしまったので途中で止めるわけにもいかず。
「伸びるって!私も13の時はそんぐらいだったしさ!それより!その交流演習武闘で出ていた人と似てないなって思ったの!印象が違うなって!」
「そうなの...あれ?でもなんでもうやってないの?」
その言葉にちょっぴり苦虫をかみつぶしたような顔になったユウハだったが話すことにどうやら決めたようだった。
「...その試合で死人が出たからよ」
その一言には流石にニルムも声を失った。
そんな様子になったニルムをユウハは「別に君のせいじゃないんだからしょんぼりしなくたっていいのよ」と言ってフォローしたのが功を奏したのか。
「...そうだね、ボクが落ち込んでもしょうがないよね...あ!それよりその豪豹族の人って名前なんていうの?」
ニルムはなんの気もなく聞いたことだったが次の瞬間、驚愕に揺れた。
「その時の演習相手はたしか....オウカクさん、だったかな...?」