第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
「そう言えばおにいさんって名前なんていうの?」
ニルムは案内され大通りに入った時に熾獅族の青年に言った。
「んあ?俺か?俺はサエルだ」
「ふ~ん、サエルさんっていうのかぁ」
ニルムとサエルは獣人のひしめく大通りを一緒に歩いていた、体格差はニルムよりサエルが頭一つ...否、頭三つ分ぐらい大きかった。
「あ、そうだサエルさんさ、なんで店であんな敵意ランランとした目でボクを見てたの?」
ニルムの問にサエルは少々答えたくなさそうに横を向いてから。
「....聞きたいのか?」
「うんうん」
即答、これにはサエルも面食らった。
「ゔ...普通こんなに言いたくなさそうにしているんだから断るだろう...?」
「...そうなの?」
サエルの言葉にニルムは首を傾げた、同時にフサフサの尻尾もくにゃんと曲がった。
「あー...わかったよ!いやあいいんだろうが、あれはな俺の目標が、豪豹族に勝つことだからだ、そして同時にそうなりたいとも思っている」
「そっかーサエルさんは豪豹族になりたかったの?」
「愚問だな、より強く生まれたかったに決まってんだろうが」
ニルムはサエルのその言葉に重みを感じた。だがニルムは所詮まだ13歳の少年だ、同対応していいかわからず黙った。
そうしてニルムが閉口すると、サエルが思いついたかのように言った。
「そうだ!俺を弟子にしてくれよ!」
そんないきなりな発言に面食らったニルムだったが、そもそもニルムはこの街に来たのはこの街を治める領主に会うためだった、まぁ全くと言っていいほど進んでないが。
とりあえずニルムは言った。
「えー...やだ」
「そんなっ!?」
「だってボクがこの街に来たのは領主に会うためだもん、会い方とか何処にいるかとか全くわかんないけど」
「りょ、領主に会いにか?領主なら熾月祭の表彰の際には必ず現れるぞ?ほかは知らんが」
「表彰って何?」
「最後らへんまで残ってた奴らに賞金とか贈るための表彰式のことだ」
賞金....かぁ、まだ残りはあるけどお金はあって害はないしなぁ....。
そう頭の中で考えてニルムは言った。
「サエルさんサエルさん。ボク、熾月祭に出ることにするよ」