第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
とりあえずニルムはピラフだけしか食べなかったのでそれほど値は貼らなかった。
帰り際、ウェイトレスの少女、どうやらユウハと言うようだった彼女に近くに良い宿屋があるか聞いたら。
「それなら3つ左の店舗が宿屋をやっているわ。そこの店長と私、顔見知りだから安くしとうように言うから職務終了時間の5時に店に来てね」
安くしてくれるというのだからニルムにはその誘いを断るという手はなかった。
そして店を出て時刻は3時になった、まだあと2時間は残っている。
「どうしよう...手持ち無沙汰になっちゃったし...」
そう言って言葉を区切り息を吐き、吸う。そして。
「それにここ、どこ~~~~~~ッ!!??」
どこまでも白い人家の立ち並ぶ道を迷った。やばいやばいやばい。
飛んで上から確認しようかなぁ、という考えが浮かんだがこの街で妖術を使うのは良くなさそうだし...。
「屋根の上にでもひとまず登ろうかなぁ」
そんなことを呟いていたニルムは突如、背後から声をかけられた。既に気配を察知していたので存在自体は既知のことであったが。
「あれぇ~、天下の豪豹族様がこんなところで何してるんですかね~?」
ニルムはそのふざけた物言いに眉をひそめた。
「なに?たしかおにいさん店にもいたね?」
その一言に熾獅族の青年は驚いたような顔をしたが、それを恥じたかのようにまた見下した笑いを浮かべる。若干無理があったようにニルムには見えた。
「なんだ?見えてたのか?ハッ、さすが豪豹族様はできが違いますねぇ」
その物言いに少々イラッときたニルムだったが今はそれどころじゃない、道に迷ったのだ。
なぜ迷ったかというと周りに人気が無いのだ。その為尋ねることもできなかったのが多分道に迷った大きな理由だろう。
結局は自分の前に立っている男に聞くしかないのだ。少しばかり癪だったけど。
「おにいさん、大通りってどこか知ってる?」
「そりゃぁしってるさ!あ!もしかしてテメェ道に迷ったのか!?バァカだなぁ!」
そして熾獅族の青年は腹を抱えて笑い出した。まあ数秒のことだったが。
そして言った。
「ヒヒヒッ、いいぜ俺と戦って勝ったら教えてやるよ」
対人戦は初めてで勝てる保証も無かったので、とりあえずニルムは嫌そうな顔をした。