第13章 俺の好きな人
だけど、思いと行動は裏腹だ
「告白してみれば?案外いけるかもよ」
『無理!話したことないもん。今はまだ、見てるだけで十分だよ』
照れくさそうに笑う彼女の姿をみて、一人また傷ついた
俺は自分のことはバカではないと思っていた
しかしどうやら違っていたらしい
なぜおれは好きな奴の恋を応援しているんだろうか
バカの極みだ
「お前いい加減岩泉と話してみろよ。いつまでそうやって見てるだけなんだ?」
『だって緊張するんだもん!松川君は好きな人がないからそんなこと言えるんだよ』
頬を膨らますこいつに腹が立った
好きな奴?
お前だよ、バカ
「俺にだって好きな奴くらいいるっつうの、バカ」
『え!?誰?』
「秘密。じゃあ、俺部活あるから」
お前が好きだ
好きで好きで好きで、仕方ない
お前知ってる?
俺、お前をオカズにして毎晩抜いてるんだぜ?
まぁ、俺の汚い欲望のことなんて知らなくてもいいけどよ
ただ、一つだけわかったことは
お前の中に、俺はいないんだなってこと
「くそっ」
体育館に向かう途中の廊下で、俺はひとり吐き捨てた