第13章 俺の好きな人
松川side
俺があいつを好きになったのは
去年の7月だ
同じクラスで、どういうわけか仲が良くなった
そう、仲のいい女友達として、初めは接していた
でも、そのうち好きになっていた
あいつが笑うたび、自分も嬉しくなった
これが恋なんだなって自覚するのにそう時間はかからなかった
こいつと付き合えたら幸せだろうな
なんて、そんなことを授業中に思ったりして
付き合った時のことなんかも想像してにやけて先生に注意されて
好きっていう感情がどんどん芽生えてった
だけど、俺のこの気持ちは彼女に届くことはなかった
1年10月
『松川君』
「どうした?」
『男子バレー部に岩泉君っていたよね?』
そう聞いてくる彼女に、はてなマークが頭の中で飛び交う
岩泉になんか用か?
あれ、こいつって岩泉と仲良かったっけ?
そんな俺に彼女は恥ずかしそうに言った
『私岩泉くんのこと好きになったみたいなの』
「へぇ……」
平然と答えたが、心臓はドクドクと脈を打った
あいつが何か言っていたが、頭には入ってこない
岩泉が好きなのか……
はは、告白する前に玉砕かよ
だっせ……
内心かなり傷ついた
初恋は叶わないとかいうけど、どうやら本当だったらしい
だけど、諦めきれるかと言われたら、それとこれは別件だ
諦められない
俺はこいつが本当に好きなんだから