第12章 傍にいたい
「俺も怖かったよ」
『え……?』
「お前に嫌われたんじゃないかって思って怖くなった」
の頬を伝う涙を拭ってやる
そして、抱きしめた
身体を引きはがそうと抵抗するが、力で勝てるはずもなく
大人しくなる彼女の背中に手を回す
二つの体温が合わさって、安心に近い感情があふれ出る
「俺は、無力だ。お前が苦しんでるのを見てるしかできない。それがものすごくつらい。支えてやるなんて思ってた。でも、できないかもしれない」
ぎゅっと、俺の服を握りしめる
その腕は少し震えていた
俺は安心させるために彼女の背中をさする
「頼りない俺だけど、それでもお前の傍にいたい。お前と一緒にいたいんだ。子供は産めなくてもいい。でも、別れるなんて言うな。俺の傍を離れようとするな。俺はお前じゃなきゃダメなんだ」
身体を一度離し、お互い顔を見合わせる
涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をは手で覆い隠す
それがかわいくて、顔を隠している腕をそっと外し、ゆっくりと唇を重ねた
「俺はが好きだ。は?は俺のことどう思ってる?」
『私、は……』