第11章 本音
彼女は言った
自分は子供が産めないだけじゃなくて幻肢痛で岩ちゃんを傷つけてしまう
幻肢痛が治るのは半年の人もいれば、10年以上続く人もいる
10年以上も岩ちゃんを傷つけたくない
傷つけるくらいなら別れた方がいい
別れて自分じゃない誰かを好きになって結婚して子供産んで幸せになってほしい
そう言った
気持ちは分からなくもない
わからなくもないけど、でも、それは……
「ただの自己満足だろ」
『松川君……』
「岩泉の気持ちも考えろよ。好きならなおさら。お前らどっちもバカすぎ。心配して損したわ」
松っつんの言葉に、うつむく彼女
そんな彼女の頭をなでる松っつん
「一回あいつと話してみろよ。お互いがバカだってわかるから」
そう言って松っつんは病室を後にした
「松川の言う通りかもな。明日にでも岩泉来るから、仲直りしろ」
「うん。もう少し素直になった方がいいよ。じゃあまたね。今度会う時は学校だね」
一筋の涙が彼女の頬を伝って零れ落ちた
こくんと頷くちゃん
彼女の頭を撫でて、俺らも病室を後にした