第11章 本音
『それはよかった』
「は?」
『私なんかより、違う人とくっついてほしい。一くんには幸せになってほしいもん』
「ちょっと待ってちゃん。それは違うよ」
突っ込まずにはいられない
この子は今まで岩ちゃんの何を見て来たんだ
岩ちゃんの倖せ?
そんなのちゃんと一緒にいることだよ
君の傍にいるときの岩ちゃんの顔、本当に幸せそうなんだよ
見たことないくらい穏やかに笑ってて
俺達は知ってるよ
岩ちゃんの倖せは君以外にはありえないんだよ
「岩ちゃんは、君の隣にいる時が一番幸せなんだよ」
ずっと一緒にいる俺が言うんだもん
間違いないよ
『……私は一くんの隣にいちゃいけないの』
「いや、俺の話聞いてた?隣にいていいんだよ。つーか、隣にいろよ」
最後は少し強い口調になってしまった
思った以上に頑固すぎて、ちょっとイラッてきたのは内緒
ちゃんは少し悲しそうに笑って
おなかの少し下あたり、女性器があるあたりに手を置いて言った
『私、子宮を切除したの。子供が産めないんだ』
衝撃的すぎる事実に言葉を失った
マッキーや松っつんも同じみたいだ
脚だけじゃなく、子宮までとかどんだけ世の中は残酷なんだよ
「それ、岩泉知ってんの?」
マッキーの質問に頷く
岩ちゃんもきついだろうな……
胸が締め付けられた
確かにこれだと無力すぎる自分を追い詰めたくなる