第11章 本音
そんな俺の考えなど無視して松っつんが単刀直入に突っ込んだ
「岩泉振ったんだってな。なんでだ?」
今まで笑っていたちゃんの顔が曇った
ちゃんが話すのを待ってみる
しかし、口を開く雰囲気はなく松っつんが畳み掛けるようにまた言葉を放った
「お前に振られた後の岩泉知ってる?ものすごい荒れてる。部活に支障をきたすくらい」
『……そう、なんだ』
「自分が何かしたんじゃないかって追いつめてる。あんな弱々しい岩泉初めて見たよ。なぁ、。なんで別れた?付き合いたいって俺に相談してきたよな。好きなんだよな?好きなんだろ?」
キレているわけではないが、松っつんがすごむとものすごく怖い
俺達二人が言われているわけじゃないのに、俺もマッキーも冷や汗が半端ない
それでもちゃんはだんまりだ
「岩泉、お前と別れてからいろんな奴に告白されてるよ」
その一言にちゃんは顔を上げる
その顔は今にも泣きそうで、好きかどうかなんて聞かなくてもわかるよ、こんなの
俺は思わず、口元が緩んだ
え、というか、ちょっと待って
岩ちゃん告白されてんの?
え、うそ、まじで?
及川さん、それ知らない
え、うそ、え……?
動揺する俺にマッキーが小声で「嘘だ」とうちあけてくる
なんだ、嘘か
よかった……
岩ちゃんがたくさんの女の子から告白されているところなんて、想像しただけでおもしろい
「及川、それはあいつに失礼だ」
「え、声に出てた?」
「顔に出てた」
「あ、うそ。ごめん」
もちろんこれも小声でのやり取り
俺らのことなど無視して、松っつんはじっとちゃんを見つめてる
すると、無理したような顔で彼女は言った