第11章 本音
「で、なんで岩ちゃんは自信がないの」
「あいつすげえ痛がっててさ、でも俺何もできなかった。無力だったんだ。それがわかった時、俺はあいつの支えになれないんじゃないかって思った。それで、俺も少し思ったんだ。別れた方がいいんじゃないかって」
思ってもみなかった言葉に、俺は目を見開いた
岩ちゃん、お前何言ってんの?
それ本気?本気だったら俺、岩ちゃんを殴るよ
そんなの岩ちゃんらしくない
「バカだろ、お前」
そう吐き捨てたのは松っつんだった
腕を組んで岩ちゃんを見る
「無力なのはお前ひとりだけじゃないっつうの。みんなそうだよ。つーか、本人以外何もできないもんだって。それくらいわかれよ」
「松川……」
「なんかこの調子だとあっちも同じこと考えてそう」
「わかる。案外似たもの同士だからな、こいつら」
松っつんに頷くマッキー
ずずず、と音を立ててカルピスを飲み干す
確かに、ちゃんの方にも問題があるかもしれない
この二人、お互いのことを考えすぎてすれ違ってるだけだと思う
そこを手助けしてあげるのが、我々ってことですね
ちらりと、マッキーたちを見れば、目が合った
どうやら考えていることは同じらしい
俺達は小さく頷きあった