第5章 テストと部活と6月の雨
人間というのは不思議な生き物で、
集中しなければと思えば思うほど集中などできない
『岩泉くん、もしかしてわからないところあった?』
手が動いていない俺の顔を覗き込む
心臓がはねた
血の巡りが早くなったのがわかったような気がする
「あ、いや……平気」
『そうなの?』
「ちょっと、飲みもん取ってくる」
立ち上がり、部屋を出る
部屋の扉を閉め、深く息を吐く
飲みもん取ってくる間に落ち着こう
階段を下りてリビングに向かう
冷蔵庫を開け、お茶を取り出しコップ二つに注ぐ
それを両手に持ち階段を上がり、部屋のドアを開ける
すると、そこには俺のベッドに横になるがいて
二つの目が合う
時間が止まったような気がした
『……あ、えっと……』
言い訳をしようとは言葉を吐き出すが、思いつかないらしい
顔を真っ赤にして、うつむく
なんなんだよ、こいつ
俺が一生懸命理性を保とうとしていたのに
それをぶち壊すようなことはしないでほしい
我慢なんてできるわけないだろうが