第21章 文化祭
そして、あっという間に文化祭当日になった。
焼きそばの作り方を母ちゃんから教えてもらったおかげで何とか作れるようになった。
朝から、焼きそばをいくつか作ってパックにしまう。
料理を作る係は、午前と午後で別れている。
俺は午前の係。
焼きそばを作る係、焼きそばを詰める係、会計の計3人で行っている。
父兄の人や他の高校の生徒が集まってくる中、見覚えのある集団がやってきた。
「お疲れ様です、岩泉さん」
中学の後輩である影山が、律儀にお辞儀をして焼きそばを買って行った。
焼きそばを焼いている間、軽く話をした。
烏野でうまくやれているようだ。
中学でのあいつは見れたもんじゃないが、高校でいい仲間に出会ったんだな。
そのことに安堵して、俺は笑った。
「国見とか金田一もそこら辺いるだろうから、一緒に回ったらどうだ?」
「あー…いえ。大丈夫っす」
「……なんだ、まだ仲直りしてねえのかお前ら」
「仲直り、というか……まぁ」
「金田一の奴なんてお前と話したいって言ってたけどな」
すると、黒い瞳を一瞬だけ大きくした。
そして少し頬を染めて「そっすか」とうつむいた。
なんだ、そんなに険悪な仲ではないんだな。
少し安心した。
「ほらよ、焼きそば。俺のおごりだ」
「えっ!?」
「春高でな」
「!はい!!」
顔を引き締め、頷く影山。
本当にバレー馬鹿だな。
コートに立てば敵同士。
だけど、今は先輩と後輩だ。
試合のことなんか気にせずに楽しめばいいと思う。
そのあと、バレー部の面子が集まって焼きそばを買いに来た。
国見と金田一の姿が見当たらなくて、及川に聞いたら
「飛雄ちゃんと一緒に回ってるみたいだよ」
と言った。
なんだかんだ仲直りはしたらしい。
元々中は悪くはないからな、あいつら。