第21章 文化祭
「久しぶりにやりたくなってきた。一戦やろうぜ、岩泉」
そう言って腕まくりをする花巻。
は、そんな俺らの姿を見てくすくすと笑って、審判をしてくれた。
お互い机を挟んで、真正面で手を握りあう。
『レディー・ゴオッ!!』
の掛け声と同時に俺らは腕に力を込める。
最初はお互い引けを取らなかったが、徐々に花巻の力が弱まっていく。
俺はにやりと笑って一気に机に叩きつけた。
「あ~……勝てねえ」
机に突っ伏して嘆く花巻。
エースの力を舐めんじゃねえよ。
『私もやる!!』
その時、が手を挙げて俺の目の前に来た。
そして、机の上に肘を置いた。
早く早くと、俺を急かす目。
いやいや、男と女だぞ。
力の差なんて目に見えているだろうが。
それでも彼女は、早く早くと急かす。
俺は軽く息を吐いて、彼女の手を握った。
女の柔らかい手。
握りつぶしてしまわないように、優しく握った。
花巻が掛け声をかける。
その声と同時には力を込めるが、俺の手はピクリともしない。
両手を使ってみるけどそれでも俺の手は動かない。
一生懸命な彼女がかわいくて、俺はぶはっ吹き出した。
そして、力が抜けた瞬間に彼女は机に俺の手を着けた。
『やった、勝った!!』
嬉しそうに両手を掲げる。
駄目だな、本当にかわいくてしょうがない。
笑いすぎて目にたまった涙を拭った。