第21章 文化祭
『一くんのところは焼きそばなんだね』
昼休み、の教室に行き彼女の机の上で一緒に弁当を食っていた。
先ほど決まった出し物をお互いに話していたところで、は「焼きそば一緒に食べようね」と言って笑った。
「そのことなんだけどよ、焼きそばってどうやって作るんだ?」
目をぱちくりとさせ、は俺の顔を見る。
そしてにこりと笑って、「簡単だよ」と言った。
さらさらといらない紙に作り方を書いて、俺に渡す。
『一くんのお母さんに頼んで練習したらいいよ。本当に簡単だからすぐに覚えられるよ』
「サンキューな」
『ふふっ、一くんの料理する姿全然想像できない』
くすくすと楽しそうに笑う
俺もつられて笑った。
「あ、岩泉」
とその時、花巻が教室に戻ってきて俺達の所にやってくる。
ニヤニヤと笑った顔がうざい。
「お熱いですな~」
「うっせえよ。つーか、何の用だよ」
「別になんにも。……そう言えば文化祭の出し物何にした?」
「焼きそば。お前んとこはフリーマーケットなんだってな」
そんなことを花巻と話していると、何かを思い出したかのようにが声を上げた。
どうした、と聞くと彼女は言った。
『京谷、くんだっけ?その子とはうまくやれてるの?』
京谷、という名前に俺と花巻は顔を見合わせ笑った。
京谷賢太郎。
つい最近、バレー部に顔を出してきた2年生。
協調性には欠けるが、実力は確かではある。
そんな彼は戻ってきた時、俺に勝負を吹っかけてきた。
「球技とマラソンで勝負しろ」
何を思ってそう言ってきたのか、俺にはわからなかった。
だけど、売られた勝負から逃げるなんて腰抜けみたいなことはしない。
俺は、二つ返事でそれに答えた。
そして結果、俺の全勝で幕を閉じた。
「でも昨日の部活の時に、"腕相撲で勝負しろ"って言ってきたよな、アイツ」
「腕相撲で勝とうなんざ100年早いっつうの」
腕相撲には自信がある。
バレー部の中では一番強いし、去年のチャンピオンでもある。