第21章 文化祭
夏休みが過ぎた。
夏休みは、朝から晩まで部活三昧の毎日だった。
それもこれも全部春高のため。
と夏祭りにもどこにも行けなかったけど、
それでもたまにある休みの日には、どっちかの家でDVDを観たり、ゴロゴロしてまったりとした時間を過ごした。
夏休みが過ぎた9月。
球技大会やらマラソン大会いも落ち着いた中旬。
俺達学生にとって大きなイベントが待っていた。
「じゃあ、今年の文化祭の出し物を決めたいと思います」
委員長が教卓の前に出て、そう言いだした。
文化祭。
学生にとっては、一番の楽しみと言ってもいいだろう。
俺は、机に頬杖をついて、黒板に書かれていく提案をボーっと眺めた。
お化け屋敷、演劇、メイド喫茶、執事喫茶などなど……。
だけど、どれもピンと来ない。
というか、やりたいと思わない。
俺は大きな欠伸をした。
すると、それをたまたま委員長に見られ「いい出し物はないか」と聞かれた。
何も考えていなかった。
俺は、軽く頭を掻く。
「……焼きそばでいいだろ」
何も考えていない結果、出た単語はこれだった。
「作るだけでいいし、そんなに金もかかんねえし」
付け加えるようにそう言うと、
「焼きそばかぁ……。いいんじゃないか。正直お化け屋敷とか作るのめんどくさいしな」
「メイド喫茶とかも服準備するのだるしねー」
と、クラスの声が上がる。
そして最終的に俺らのクラスは「焼きそば」となった。
こんな簡単に決まっていいのか?
俺が言うのもなんだけど、高校生活最後の文化祭だぞ。
だけど、一つ決まると話はどんどん決まっていく。
気が付くと、材料を買う人、焼きそばを作る人など、細部まで決められていた。
ちなみに俺は、焼きそばを作る係となった。
料理できねえのに……。