第17章 あなたを好きになって
『それで?私に話って何?』
学校を後にして、俺は宅に歩き出す
家の場所は岩泉に教えてもらったから、たぶんわかるはず
にこにこと笑う
かわいいな
抱きしめたいな
こみあげてくる感情を振りはらうように首を振る
ドクドクと心臓が妙に早い
……緊張、しているのか
そりゃそうか、今から告白するんだから
「あのさ……」
声が震えた
喉の奥がしまったような気がする
心臓がさっきより早く脈打つ
手足が震える
変な汗が背中を伝う
なんか、俺が俺じゃないみたいだ
思えば、自分から告白するなんて初めてだ
いつもはされる側だったから
告白ってこんなに緊張するのか……?
震えそうになる声を必死に抑え
口の中にたまった唾液を飲み込み
大きく息を吸って、ゆっくり吐いて
俺は、言葉を放った
「俺、のことが好きだった」
時間が、止まったような気がした
見上げてくる顔は驚いていて、二つの視線がぶつかった
「一年の時からずっと好きだった」
そう、好き"だった"んだ
ずっとずっと好きだった
ずっとずっとお前ばかりを見ていた
でも、それも今日で終わりだ
「返事はいらない。ただ、俺が俺の気持ちにけじめをつけたかっただけなんだ」
自分の本音を吐き出したからだろうか
あんなにうるさかった心臓も
震えていた手足も
落ち着きを取り戻していた
は、ただうつむいていた
こんなことを言って困らせてしまっただろうか
「俺の告白に悩まなくていい。悩む必要なんてない。お前は優しいから、きっと自分のせいで俺を傷つけたとか思ってるのかもしれないけど、そんなことないから。そんなこと思わなくていいから」