第17章 あなたを好きになって
こくん、とうなづく
その肩は震えていて、時折鼻をすする音が聞こえた
泣いてる、のか
「泣くなよ」
『う、ん……』
「泣かせるつもりなんてなかった」
『うんっ……。知ってる……。ただ私が無神経すぎて嫌になっただけ』
「だから、そんなふうに思わなくていいって。ただ岩泉と一緒に笑っていてくれたらそれでいいから。俺はそれで十分だから」
いつの間にか俺達はの家の前まで来ていた
""と書かれた表札をみて、俺はインターホンを押した
そして、泣いてるの髪を撫でようと手を伸ばし
その手をひっこめた
「じゃあな」
に背中を向けて、歩きだす
彼女のすすり泣く声が耳に響く
あいつを追い詰めて泣かせたのは俺なんだよな
泣かせるつもりなんて本当になかった
唇を噛みしめ、俺は足早にその場を離れようとした
しかし、に名を呼ばれた
立ち止まり、ゆっくりと振り向く
の母親らしき女性がおろおろとしているのが見える
でも、それを無視しては流れる涙を拭って言った
『また明日ね!!』
涙交じりの笑顔で手を振る彼女に
俺も手を振りかえした
「また明日」
お前を好きになってよかった