第17章 あなたを好きになって
俺の言葉に岩泉は眉間のしわを寄せる
「なんでだよ」
「なんでも。話したいことがある」
「……今じゃだめなのかよ」
ぶはっ
なんだよ、それ!
やばい、今お前のことすげえかわいいって思ってる
そうだよな
いくらチームメイトつっても、二人きりにはさせたくないよな
そんくらいあいつのことが大好きでしかたないんだよな
肩を揺らして笑っている俺に岩泉はしびれを切らす
「悪い」と謝って目じりにたまる涙を拭いた
俺はこいつには一生敵わない
俺はこいつのようになれない
それがわかっているから
だからせめて今日だけは、二人きりにしてほしい
そのあとはもう、近づかないから
この気持ちを根こそぎ取り除くから
「お願いだ、岩泉。今日一日だけでいい」
「……わかった」
サンキュ、と肩を叩いて、俺は体育館へと向かった
たぶん、今ので俺の気持ちに気づいたんじゃないかな
そこまであいつも鈍くないだろうし
俺の気持ちを知ったからといって、うじうじするような奴じゃないと思うけど
でも、それでもあいつは優しい奴だから
多少なりとも心を痛めるだろう
俺のことなんて、気にしなくていいのに
そんなお前だからは惚れたんだろうし
俺らだってお前に頼ったりしちゃうんだ
うざいっていつも怒鳴るけど、一種の愛情表現なんだぜ
部活が終わり、図書室に向かう
図書委員の仕事をしながら岩泉の迎えを待っているらしい
扉を開けると、本を読んでいたが顔を上げる
『あれ、松川君?』
「、お前に話があるから今日は俺と一緒に帰ろう」