第17章 あなたを好きになって
好きな女が自分じゃない誰かと付き合っていたらそいつのこと好きでいたらいけないっていう決まり事でもあんの
叶わないってわかってても好きなんだからしょうがないだろ
俺のこの気持ち、誰にも動かせねえよ
「……松川君、私じゃだめかな?」
「は?」
「私じゃさんの代わりになれないかな?」
へぇ、なるほどね
そういうことですか
そんなに俺のことが好きなんだ
かわいいところあるじゃないですか
でも
「あいつはあいつだし、お前はお前だ。誰も誰かの代わりになんてなれねえよ。……のかわりなんてなれねえよ」
俺はそう言って、教室へと戻った
午後の授業、俺は上の空だった
あの女子が言っていたことが頭の中でぐるぐる渦巻いていた
わかっている、俺だって
うすうす感じてはいた
でも、手放したくなかった
ずっとこの気持ちを抱いていたかった
辛い時もあったし、一人で勝手に傷ついてるときもあった
でも、手放すよりはましだと思ったんだ
なかったことにしたくなかった
でも、そろそろこの気持ちに終止符を打たないといけない
叶わない恋をずっと引きずるなんて女々しいこと、俺には似合わない
「……はぁ」
俺は大きな息を吐いて、机に突っ伏した
放課後
「岩泉」
3年5組の教室に俺は来ていた
部活に行く準備をしていた岩泉は、俺を見るなり「どうした」と近づいてくる
俺は、数秒岩泉の目を見つめた
首をかしげるこいつは、俺がに抱いている感情を知らない
本当、いい意味でも悪い意味でも鈍感だよな
ふぅ、と息を吐いて
「今日、と帰っていいか?」