第11章 守る意味を求めて
「だって、私は犬夜叉に例え傷付けられたとしても、それを誰かに『誰がやったんだ!? 答えろ!』って聞かれても絶対答えられないよ。もしかしたら、犬夜叉には私を傷付けなくてはいけない理由があったんじゃないか、とか……操られているとか!? って考えちゃうもの」
「そのどちらでもないかもしれねぇぞ」
「ううん、そんなことないよ」
きっぱりと言い切るかごめに、犬夜叉は目を丸くした。それを見てかごめは、ふっと微笑んだ。
「私、犬夜叉のこと信じてるもの」
その言葉と共に、犬夜叉は「馬鹿じゃねぇの」と鼻で笑ってそっぽを向いた。少しだけ見えた彼の横顔は、心なしか嬉しそうに見えた。それを見たかごめも、また嬉しそうに笑みを浮かべていた。互いの間にある確かな信頼関係。それが、櫻子と殺生丸にもあるとは言わない。
それでも、かごめは心の何処かで似たような思いは櫻子も殺生丸も持っているのではと思っていた。でなければ、あれだけ人間を嫌っていた殺生丸が、彼女を傍に置くはずがないと思ったからだ。
「ん……っ」
櫻子が声を漏らす。それに反応するように、犬夜叉は櫻子へ視線を向けた。
「櫻子! おい、起きたか?」
「……あれ……。犬夜叉、さん?」
「よし、ちゃんと俺のことがわかるな。お前、自分が気を失う前のことは覚えているか?」
「気を失う前……いたっ」
「肩に怪我をしてる。動くんじゃねぇ」
櫻子は「え?」という顔を見せた。それはまるで、自分が怪我をしているなんて思いもしなかったという顔だ。