第9章 一瞬の間
「いやぁ……やっぱりあの殺生丸って凄いよなぁ。なんでお前はあんな強い妖怪と一緒にいるんだ? お前、本当に玉依姫なんだよなぁ? にしても弱い奴だな……」
「そうですね……っ、本当に……反論の余地もありません」
「ふぅん……。まぁ、だからさ……お前にその刀は相応しくねぇよっ!!」
一気に地を蹴り、三鬼は物凄い勢いで櫻子へと飛びかかってくる。ぎりぎりの位置でそれを櫻子は避けると、ぎゅっと刀を握り弧を描くように頭上から振り下ろす。
「貴方にはけして渡しませんっ!! 奥義・絶円破ッ!」
地形を変えるようなかまいたちが巻き起こり、周囲を巻き込む様に三鬼を取り込もうと襲い掛かる。三鬼は小さく舌打ちをすると、かまいたちの中へと身を投じる。
「三鬼っ!!」
二鬼の悲鳴に似た叫び声が響く。すると、その隙を逃さんとするように殺生丸が、爪で二鬼の目を狙うように突く。
「よそ見をしている暇があるのか……ッ、毒花爪!」
「……っ!? あが……ッ!!?」
毒爪が二鬼の片目を潰す。巻き起こる風の中、殺生丸の長く美しい髪が宙を舞う。手を引く抜くと、そこから鮮血が滴り落ちる。殺生丸は眉間に皺を寄せ、続けて二鬼の腹へと蹴りを浴びせる。
その衝撃で、二鬼は遠くへと吹き飛ばされた。
櫻子の視線は、未だかまいたちの中にいる三鬼へと向けられている。倒したのか? これで終わったのか? 一瞬刀を握る手を緩めた。
刹那……――