第11章 空間期の合間にロマンス(東峰旭)
「ち、違う違う。誤解だって」
「誤解ってなんだよ」
慌てる旭に、菅原がにやにや笑い出す。「あさひぃ。やるならもっと上手い言い訳しろよな」
「言い訳じゃなくて。この子はなまえって言う、俺の遠い親戚なんだよ」
「はいはい。ねーちゃんの旦那さんのいとこの子とか言うんだろ?どうせ」
「大地まで……!そんな胡散臭い話じゃないって!」
「はいはいはぁい。つまりお前とこの子は一言で言うと、どんな関係なんですか?」
「タラちゃんとイクラちゃんみたいな関係です」
黙ってやり取りを聞いていたなまえがしれっと言った。3人の口がぴたりと閉じる。
「……と、言いますと?」
「はとこです」
しゃんと背筋を伸ばして、なまえは軽く一礼をした。「初めまして。みょうじなまえと申します。旭がいつも、ご迷惑おかけしてます」
「あ、いえいえこちらこそ……」
お世話になっております、と恐縮して頭を下げる菅原と大地の姿に、旭は肩を小刻みに震わせた。
なまえはまさに、借りてきた猫。外面だけは立派になるよう、厳しく躾けられてきた子なのだ。
(なぁ、大地)
(なんだ、スガ?)
(はとこって、いとこのいとこのことだっけ?)
(…………。いや、ちょっと違う気がする)
(えっ……?イクラちゃんって、ノリスケさんのお子さんだよね?)
(そもそもなんで、ノリスケは磯野家に出入りしてるんだ?)
お辞儀をした状態のまま、真剣な表情で相談を始める2人。とうとう耐え切れずに噴き出してしまった。
「なまえは俺のじいちゃんの妹の孫だよ。6親等の、ギリギリ親族」
説明しながら笑っていたのが悪かったのか、その後旭はパンチを2発お見舞いされた。