第5章 視点を変えて見てみよう【2.上昇】(梟谷3年)
おまけ
「ほえッ!?何やってンの!?」
部室を開けるなり突如目の前に現れた4人の騎馬に、木兎は驚いてその場で小さく飛び跳ねた。ふふん、とてっぺんから見下ろすなまえの両手は鷲尾の肩に、両足は3人の組んだ手の平の上に乗っている。
「どうよ木兎?いま私、超目線高い女子つまりハイ・アイライン・ガールだよ!」
「マジかすげぇ。尾長よりデカイじゃん巨神兵じゃん!?」
感心したように見上げる木兎も、今のなまえから見たら小さな子どものようで可愛く思えた。ぐぐっと身体を乗り出して、その特徴ある髪の毛にも手を伸ばす。
「えっ、えっ、何!?」と混乱する木兎を無視して優しく撫でると、うひっと肩が大きく跳ねた。
「何?!なんで撫でられてんの俺!?」
「えへへー木兎かわいーなー」
「や……!!う、ン!?」
「おい、照れてるぞアイツ」
真っ赤な顔で両目を瞑っている木兎を見て、騎馬を支える木葉が隣に囁いた。左隣の猿杙が「ほんとだね」と言って小さく笑う。
「俺たちって背が高いから、あんまり頭触られるの慣れてないもんね」
「だな」
いいこいいこー、と撫でくり回される木兎を見て、なんだか犬と飼い主みたいだな、と密かに思った木葉秋紀くんでした。
おしまい