第39章 始まりは睫毛より上(花巻貴大)
***ここまでのあらすじ***
HIZA - MAKURA!!
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チクタクと時計の針の音がする。
「いッ……!」
「悪い、痛かったか?」
「花巻くん、コレ、もうちょっと、優しく…」
「ごめん。慣れるまで我慢な?」
「も、やだぁ」
「こっちは痛くしないから」
「えっ、うそ、ソレも?」
「ん、目閉じて」
「ヤダ、こわいッ」
「はい、力抜いてー」
「やだやだっ!ちょ、んんんッ……!」
コレが毛抜きでソレがカミソリっていう話なんだけどね。
耳かき、お昼寝、そんなほのぼのだったらわかるけど、
まさか膝枕で眉のムダ毛処理されるとはびっくりだよね。
同人誌でもそんなシチュないよッ!とツッコミたくなる状況だよね。
いやだいやだと言いつつも、花巻くんの撫でるような手のひらの感触と、包み込むような甘いフレグランスの香りと、何処かから流れてくる癒しの音楽(何故かはわからない)の力によって、ぐんぐん私はリラックス状態になっていた。先生、交感神経が、アドレナリンが仕事しません。沈静化されてます先生。気持ち良くて寝てしまいそうです先生。
「いいね〜、どんどん綺麗になってるねぇ」
やらしいカメラマンのようなセリフが、閉じた瞼の上に降ってくる。いいよー、じゃあ次は脱いでみようかー、と促されたら、素直に従ってしまいそうな危うさが今の自分にはあった。
しまいには鼻歌まで聞こえて来る始末で、なんでだ、なんで上機嫌になってるんだこの人。