第5章 Indian's prince
シ「犯人も“堕落の怠惰の申し子”とはなかなか的確な表現だ。僕もインド成金はいなくなった方がこの国も多少はマシになると思うがね」
ラ「たとえインドで下らない遊びに耽り、浪費にかまけた腑抜けだとしても、多くはこのグレート・ブリテンのジェントリだ。守らないわけにはいかない!」
シ「ジェントリね…下らないな。それにしてもこのマークは…?」
坊っちゃんが指差した場所には舌を出したようなマークが描かれていた
ラ「我ら英国人と女王陛下を馬鹿にしておるのだ!ふざけおった…!!インド帰りばかり狙われるということは犯人は下劣なインド人に違いない。野蛮人め!!」
シ「それで僕が呼ばれたわけか。密航したインド人の大半はイーストエンドを根城にしている。シティヤードもイーストエンドの暗黒街には手を焼いているとみえる。密航者の正確な数もルートも特定するのが難しいんだろう?」
図星だったようでランドル様はさっきまでの威勢ごと言葉を呑み込んだ
シ「では僕は僕で動かせてもらう。さっさとマナーハウスに戻りたいんでね。セバスチャン資料は覚えたな?」
セ「は」
シ「行くぞセバスチャン、ネイラ」
「『はい』」
新人の方に資料を戻し私達は目的の場所に向かった