第5章 Indian's prince
坊っちゃんの誕生日から少し過ぎた頃、英国では厚く重い雲に覆われ雪が積もってきた
夏の切り裂きジャック騒動も収まり落ち着きを取り戻したと思っていた矢先にまた事件が起きた
その事件とは…
インド帰りの貴族や軍人が襲われ、次々と身ぐるみを剥がされ天井から逆さ吊りにされるという奇妙な事件が起こった
そしてその全ての被害者に同じ紙が貼られており―――
【こいつは頭のいかれた堕落と怠惰の申し子である。英国は全てを奪い去り、傲慢にも腐った文化を押し付ける悪魔の国だ。アバズレの支配する国の馬鹿共に天罰を!】
――と書かれていた…
ラ「まただ!これで20件目だぞ!!まだ犯人を捕まえられんのか!アバーライン!!」
ア「申し訳ございません!!」
ラ「切り裂きジャックも捕まえられず“あんなガキ”に手柄を横取りされて…「ガキで悪かったな」
ラ「ファントムハイヴ伯爵!」
ア「君!どこからここへ入った!」
見たことのない顔…新人さんだと思われる方をランドル様は手で制した
ラ「ファントムハイヴ伯爵…何しに来た!」
シ「決まってる。モタモタしてる猟犬の尻拭いをしに来てやったんだ」
私は新人の方が持っていた捜査資料を拝借して坊っちゃんに渡した
シ「なるほど…アングロ・インディアンばかりが狙われる事件か。死人はまだ出ていないようだな」
ラ「!勝手に…」
ランドル様が何かを仰る前に坊っちゃんはあの依頼の手紙を見せた
シ「ただの追い剥ぎなら僕が出てくるまでもないが、王室が侮辱され続けたのでは黙っているわけにもいかなくてな」
依頼の手紙を見たランドル様は言葉を呑み込んだ