第5章 Indian's prince
セバスチャンの背にはガラス張りの外から私たちを紅く染めている夕陽が佇んでいた
ア「…そうですね。ガンジス河のほとりで見る夕日も、英国で見る夕日も同じように美しいように」
夕日を全身で受け止めていると後ろから衝撃と重みが私を襲った
『…?!』
首に回された腕を見ればそれはソーマ様だった
ソ「う…」
「「「「「「『う?』」」」」」」
ソ「うわああああああああ…!ミ゛…ミ゛ーナ゛ああぁ」
大声でソーマ様は人目を気にせず泣いた
フードが大粒の涙で濡れていくのがわかった
シ「おい!いい加減ネイラから離れないか!」
それからしばらくして私はソーマ様の腕の中から解放された
帰ったらしっかり洗わなければ…
シ「いつまでも泣いてるんじゃない!お前、17歳って言ってなかったか?袖でふくな。これで拭いて…?」
ソーマ様にハンカチを渡そうと坊っちゃんがポケットに手を入れたときに思い出した
ジョンさんが坊っちゃんに贈ったあの便箋のことを…
しまった…坊っちゃんに言いそびれてしまっていた
シ「…!これはいつの間に!?」
セ「先程女王陛下の従者の方が入れていましたよ」
シ「何故言わない?!」
セ「聞かれませんでしたので」
坊っちゃんは苦虫を潰したような顔をされながら封を切った
シ「チッ…ん?チケット?」
セ「クリスマスプレゼントじゃないですか?“ぼうや”への」
『セバスチャン…』
シ「殺すぞ。…疲れた。屋敷に戻ってゆっくりハイティーが飲みたい」
「『かしこまりました』」
私は坊っちゃんから封筒を受け取った
『アッサムの特急茶でご用意致しましょう』
セ「夕食は私が腕によりをかけて最高のカリーを「冗談はよせ」」
シ「しばらくカリーの顔は見たくない」
セ「御意」
シ「そういえば、そのチケットはなんのチケットなんだ?」
『ええと…サーカス…ですね』