第5章 Indian's prince
ミ「馬っ鹿じゃないの?」
そうミーナさんはとても嫌な顔をしてソーマ様の腕を振り払った
ミ「こんな所まで追ってきて人の邪魔して!何様のつもり?!一緒に帰る?笑わせないでよ!誰があんな所に帰るもんですか!」
そうミーナさんが言い切るとアグニさんは膝から崩れた
アグニさんがウエスト様に従っていた理由…それはこれを、このことを隠すため…
ミ「一生を身分階級に縛られて生きていくなんてごめんよ。せっかくインドから抜け出せたっていうのに!」
ソ「じゃあお前は望んでウエストと…」
ミ「そうよ。ただの召使いと金持ちの妻、どっちがいいかなんて子供でもわかる。それにね、我が儘なアンタの面倒を見るのはもうたくさん!」
今までのソーマ様だったら暴れていただろう。でも彼は成長したらしい。彼は…
ソ「───そうか、悪かった」
この運命を受け入れた
ソ「あんなに一緒だったのに俺は少しもミーナの気持ちをわかってなかったんだな。ミーナの迷惑も考えず英国までおいかけて来てすまなかった。それから…今までありがとう」
ソーマ様はミーナさんにそう言うと脇を通りすぎ、ステージの上にいるアグニさんのもとまで歩いていった
ソ「俺は今まで他人のせいにばかりしてきた。宮殿に独りなのは親父様と母上のせい。ミーナがいなくなったのはウエストのせい。だけど違ったんだ。親のスネかじりのくせに文句ばかりの俺のせいだったんだ。そんなガキ、誰も愛するわけがない。だけど、だけどお前はこんな俺の傍にいてくれたんだな。俺から離れてもずっと。今まで苦労ばかりかけてすまなかった。また俺の傍で俺のカーンサマーでいてくれるか?アグニ」
アグニさんは泣きながら差し出されたソーマ様の手を握り返していた
ア「ジョーアギャー…」