第5章 Indian's prince
セ「どうぞご賞味下さい」
ハ「と、とにかく試食だ…」
審査員達がそれぞれカリーパンを口に運んだ
ハ「口の中で爆ぜる!これは美味い!油で揚げたパンのサクサクの表面とフワフワの中身、そして最後のとろりとしたカリーが見事な食感のグラデーションを形成している。何より素晴らしいのはパンの中にカリーを“閉じ込める”この構造だ。旨み・香り全てを閉じ込めナイフを入れた瞬間全てが開花する!!」
!そうか…!セバスチャンがパンを捏ねていたときずっとカリーを煮ていたのはこのときのため…!
ハ「さらにカリーに入ったチキンが歯応えとボリューム感をプラスする。これは完全に料理だよ」
ド「おお…おおっ…夜会で出逢った可憐な美少女。昼間は子供っぽく囀ずる悪戯な駒鳥、でも夕暮れの君は真実の顔を覗かせる。仮面の下の蠱惑的な微笑み其処に居たのは一人のレディ…私は…君を抱き締めてしまいたい!!斬新なアイディアと確かな品質、実にファントム社らしい革新的なカリーだ!!」
セ「ありがとうございます」
そのコメントで会場が湧いた
司「さあさあお待ちかねのご試食タイムです!お好きなカリーをお召し上がりください!」
司会者のその言葉でそれぞれのカリーが運ばれてきた
来場者が口に運ぶのはアグニさんが作ったカリーとセバスチャンが作ったカリーパンに集中していた
私はセバスチャンが作ったカリーパンを貰ってきて坊っちゃんに渡した
『坊っちゃん』
シ「…あぁ…………まぁ悪くないな」
審査員の話がまとまったらしく表彰式が始まった
司「お待たせ致しました。話し合いを重ねた結果此度の品評会の優勝者は…ハロルド・ウエスト社、ファントム社両者の同着優勝とさ…」
優勝者が決まろうとしたその瞬間、司会者が掲げていたトロフィーが突如何者かに奪われた
奪った人物に目を向けるとそこにいたのは…────