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オンナナレさせてみせますから

第7章 新生活も慣れれば日常


朝日が昇るのと同時にも道場に向かい、まだ来ていない幸村を待っていた。

「…まだ7月じゃないよね」

は夏が苦手だ。むしむしする季節も嫌だし、じりじりと照り付け辛いようも苦手だった。
まだそんなに肌が痛くない日差しを感じている限り、7月ではないことがわかる。このような暑苦しい軍にいるうえに気温も高いと来たら冗談抜きで脳みそが沸騰して爆発するかもしれない。それとも現代と違いヒートアイランドではないから、そんな気にすることはないのだろうか。
そんなくだらないことを考えていたら向こうの方から槍を携えてやってくる幸村の姿を確認できた。どうやら佐助は一緒にいないらしく、その代わりに小山田が隣にいた。

「おはようございます!」

「おおっ?!」

いきなり声をかけてしまったからか、幸村は大げさなほど驚き槍を落としてしまう始末だった。

「殿、朝早くからご苦労様です。」

小山田はにこにこ笑いながらに話しかけるも、未だ驚きの表情が崩れぬまま幸村は固まっていた。こんな調子で女を克服するなど何万年先になるのだろうかとは少し不安になった。

「これから鍛錬ですよね、後に使う手拭いと桶をお持ちしました」

「幸村殿?」

小山田も声をかけるがそれも聞こえないようなのかがちがちとした動きで落としてしまった槍を拾い、その場を後にしてしまった。
そのまま道場に入ってしまうとわけのわからない雄叫びを上げていた。それを聞いた2人は仕方ないとかおをみあわせて続いて道場へ入って行った。


「やっぱすげー…」

画面越しに見るその技はそれだけで凄いと思っていたのに、こうも生で、目の前で見ていると戦意喪失してしまう足軽の気持ちも分かるような気がした。あんなのを見せられたら勝機もないと判断してしまうだろうし、何より死ぬのが怖いなら飛び込むのは絶対無理だ。
それだけ凄い振る舞いなのに小山田は決してひるむことはない。仲間同士で殺し合いなんてのはほとんどないだろうし、ヘマをしなきゃ死なないのはわかっているのだろうが、それでも恐れることなく立ち向かう姿は現代では見られなかったものだ。
もし帰ってしまうことがあったらずっと無理だと後回しにしていた自らの夢へ歩んでみようと思ったのだった。


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