第1章 日常⇒非日常
そして半年後。
「!どう?バサラ!」
「いいね!すっかりはまっちゃったよ」
じゃあさぁ、と薫が今度見せてきたのは、携帯用のホームページが表示されているスマホ画面だった。
文字の羅列を見ているだけで頭がくらくらするのはだけが例外ではないはずだ。
「なぁにこれぇ、きんもちわるぅ」
「アンタの言い方が一番キモイ」
「ごめんごめん、つか…なにこれ、小説?」
「そう、夢小説って知ってるでしょ?」
あぁ、と納得したは少しだけ冒頭を読んでみたりした。
どうやら主人公が寝ている途中にベッドに穴が開いて落っこちて…そのままバサラの世界にトリップしちゃいました☆というところから物語が始まるらしい。
「現実味ないね、努力の成果が見られない」
「トリップは予想外な所で起きるんですよってことを伝えたいんだって!」
薫は熱心にそう語るがは現実味のなさすぎる話はそんなに興味を持たない性格なのだ。ましてや絶対にできるはずのない事に努力もせず辿り着こうだなんて虫が良すぎると苦笑いしか出ない。
「薫はできると思ってるの?」
「できないと思う、でもできたらいいよね!」
パァっと輝いた笑みを漏らすもそれについていけなかった。
「ねぇ、トリップしたくないの?」
「そりゃできたら凄いよね、自慢したいよ?」
「幸村に会ってみたいなぁとか思わないの?」
「会ってどうするのって話だけど会いたいねー」
じゃあさ…と薫は耳打ちした。