第1章 日常⇒非日常
帰宅後、早速薫に言われて通りにしてみた。
何とも巧みな話術でを説得し、どうにかこうにかやってみるだけ!とトリップ法を試してみることにした。
これでいけたらいけたでいいし、行けなかったら薫にご飯を奢ってもらう約束なのでそれでいい。
準備するものはバサラの公式ゲーム、生活必需品、洋服、多少の食料だ。生活必需品と洋服、そして食料はバッグの中に押し込んだ。万万が一トリップしたことを想定したうえでの準備だ。
トリップした先にいい人がいればそのまま住むところや食料確保には困らないだろうが、もしいなかったり悪い人しかいなければ色々とこまる。
「…できるわけないのは知ってるけどね」
そうは言うものの準備をしているところを見れば多少の期待はしているようだった。
テレビの電源をつけ、ゲーム機本体にも電源を入れる。スタート画面になり、音楽が流れた。
薫が言うにはそのまま何の操作もせずテレビに頭から突進するだけだという。強行突破法だと説明づけてきた。
適当なことを言ってやりましたけど無理でしたよーとごまかしてご飯を奢ってもらうのもいいが、それだと少しの罪悪感があるのでぶつかるだけぶつかってみる。
「…トリップ、できるかなッ!!」
ドゴォッ
「ッ…ってええええええええっ!!!」
案の定額からぶつかり勢いよく頭突きをしたようなものだった。ぐわんぐわんと視界が歪み、しっかりと立つことができない。
「ったく、あぁぁもう、痛い、薫めぇッ…!」
最終的にやると決めたのはだが、やはり進めてきた薫も悪いと無性にいらいらし始める。
テレビは無傷でずっとスタート画面から動こうとしない。それにも腹が立ち、テレビの電源を切ってゲーム機本体のコンセントもぶち抜いた。
「奢ってもらわなきゃおさまるかっての…」
予定通り和風ハンバーグ定食を奢ってもらうことにした。