第3章 これしかありませんよねわかります。
「わ、す、すごい!」
「あら?着物を着るの本当にはじめてだったのね?」
はしゃぐを微笑ましげにみる由良。髪はうなじの少し上で一つに結いあげ、白い控えめな装飾の施されたもので髪をとめる。着物も優しい白の色を基調とされ桃色の花が描かれている生地だ。着物なんて中学生のころにあった夏祭り以来着ていないため、とても新鮮な気持ちだった。
「これで可笑しな目で見られないはずよ」
「最後まで有難うございます」
丁寧にお辞儀をして、そうだと思いついたようにキャリーバッグを開けて化粧ポーチを取り出した。
中から出したのは肌に優しいファンデーション。
「これ、お礼っていってもそんなすごいものじゃないけど…」
「これは…?」
「ファンデーションといって、肌の色を整える粉ですよ!こうやって」
といって自らは目の前で化粧をしてみせた。
するとやはり女に時代は関係ないのだろう。とても興味深げにの化粧の様子を見て目をキラキラと輝かせていた。由良もこのときはまるで子供のようだった。
「これで、完成です!」
「まるで別人…可愛いがきれいになったわ…」
驚いたような顔をしながら感激したように化粧品との顔を交互に見比べていた。
「とういうことでこれ、どうぞ。私まだたくさん持っているので」
「いいの?とても良質な粉だわ…高いのではないの?」
「いいえ、私のs…国では手軽に手に入るのでお気になさらず!」
由良は嬉しそうにファンデーションを受け取って懐にしまい込んだ。きっと由良の肌が弱くてもファンデーション自体がそういった人向けに開発がされているので問題はないだろうが、もし異常が出たらすぐに使用するのをやめてほしいと言っておいた。
「本当にありがとう。、体に気を付けて。」
「はい、由良さんこそ、もう人攫いに会わないように気を付けてくださいね」
お互い様、とクスクス笑いあい、手を振って別れた。