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Marchen Story

第2章 シンデレラのお話


シンデレラに手を引かれ僕は走った。後ろから数人の兵士が追ってきている。

しかし甲冑を着ながらここを通るのはかなり厳しい。僕らは頑張って走った。

少し大きな通りにこじんまりとした家が見えた。

「あそこ!」

シンデレラは顔を輝かせて僕を見る。家の前には洗濯をしている義母がいた。

「義母様!」

シンデレラが肩で息をしながら叫ぶ。シンデレラの顔を見た義母は安心したように涙を流した。

その騒ぎを聞きつけたのか家の中から義姉達も出てくる。皆、驚きを隠せていないようだ。

感動の再会を果たそうと言う時に兵士達がシンデレラと義母達の間に立ちはだかる。

「待って!離してよ⁉︎」

シンデレラの悲痛な叫びは通じない。

僕は兵士を引き剥がそうとするが虚しくも僕の手は宙をきった。そうか、触ることすら出来ないのか。

どんどんとシンデレラ達の距離は離れていく。

「……っ。ありがとうっ‼︎今まで、本当に‼︎」

シンデレラは泣きながら笑い馬車に乗せられた。

義母達は泣き崩れる。「ありがとう、ありがとう……」と言いながら。

僕は義母達に近づこうとするが世界が反転する。ポッカリと穴が空き僕は落ちた。
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