第3章 ヘンゼルとグレーテルのお話
シンデレラの次は『ヘンゼルとグレーテル』だった。シンデレラの時は絵に色がついていたが色はついていなかった。
しかし、シンデレラよりも繊細で華やかな絵だった。
金髪の双子が楽しそうに歩いている絵が表紙だ。
表紙を捲ると白紙だった。俺が不思議に思っているとまた吸い込まれて行った。
気が付くと森の中だった。鬱蒼としていてどっちに進めばいいのかわからない。
「あ!人がいるよ!」
可愛らしい子供の声が聞こえてきた。後方に表紙の双子が走ってくる。
「グレーテル、危ないよ!」
「大丈夫よヘンゼル」
双子は近くまで来てマジマジと僕を見る。2人とも人形のように可愛く、よく似ていた。
「お兄さんも捨てられたの?」
ヘンゼルが悲しげに僕に聞く。そこから気まずい雰囲気が流れた。
「あ! お兄さんも一緒に行こうよ!」
グレーテルの明るい声に空気が和らぐ。僕は頷く。
ヘンゼルとグレーテルと仲良く手を繋ぎながら森を進んで行った。